アメリカ

December 30, 2022

アメリカ子育て生活一段落

アメリカに来て家庭を持ったり子育てをしながらプロフェッサー生活を続けている人達は,それぞれ事情や考え方が異なるだろうし,大切にしていることや意識していることも異なるであろう.

自分の自己実現("ワガママ" と読まれることもある)のために連れてきた責任のある身として大切にしてきたことは,家族それぞれがアメリカで自己実現(じこじつげん)でき,「アメリカで,この家族で暮らして良かった!」と思える毎日を過ごしそれが将来の礎となるよう,導いたりサポートしたりするという意識と行動である.

たとえば,娘は新体操の競技選手として,妻は指導者や審判員として自己実現できるよう,私はマネージャーとして,そして親として夫として,色々なことを考え意識しながらサポートをしてきた.

それがこの春,私達が使っていたジム(体操体育館)が閉鎖する,という知らせが突然入ってきた.ビックリしたのも束の間「一区切りをつける良いタイミング」と私達の気持ちは一つに固まった.娘も妻もそれまでの自己実現に結構満足し,新しい方向での自己実現を見据え始めていたからだ.ジム最終日の記念撮影には充実した晴れやかな笑顔が似合っていた.

UltimateLastPic

約12年間の新体操親子サポートの中で最も意識していたのが,マネージャーとしては「目標に向かう正しい努力を楽しめる状況を作る」ことであり,親や夫としては「できる限り(そして何でもない時に)現場にいる」ということであった.

その数か月後が娘の大学卒業式だった.ソーシャルメディア・コンテンツ・クリエーターとして自己実現を目指すことにした娘は,その足固めとして経営学(マーケティング専修)に専攻を変えていた.ナショナル選手として競技を続けながらも高成績をキープでき,高額な授業料が4年間すべて免除での卒業という親孝行者である.(その分,新体操競技に使うことができた)

そして娘は22年間育った親元からカリフォルニアへ向かって行った.地方で育った若者達が夢を抱き東京に向かうかのように.

家を出ていく最後の瞬間,ハグを求めてきた娘の顔はあまりにも感傷的だった.

MovingDay

車に乗って手を振りながら遠ざかって行く姿には,ドラマ「北の国から」で東京へ出ていく息子(純,Dr.コトー吉岡秀隆の昔)の電車を泣き叫び追いかけ倒れる父(黒板五郎,‎故田中邦衛)の場面が重なってきた.そんな危うさに抗い「自分は笑顔で送り出してあげよう」と強がり笑顔っぽさを作ってはみたが,きっとひきつったつくり笑顔に見えていたことだろう.

その後,一人しか子供がいない私に漂ってきた感情は「アメリカで子育てをやりとげた」という安堵感であった.ソーシャルメディア・コンテンツ・クリエーターという不思議な職業だが,既にそれなりの数のフォロワーにサポートいただいているので,色々な仕事が舞い込んできている.

娘のソーシャルメディア(SNS)現状
TikTok フォロワー 550万人
YouTube チャンネル登録 60万人
インスタグラム フォロワー 40万人

この分野はまだしばらくは成長産業のようであり,その後も,この経験と経営学士のバックグラウンドを基に色々な可能性を広げられることだろう.

この約20年間の子育てで私が意識し行動してきた基本姿勢は,きっと数多くのお父様方と異なっているような気がする.テレビなどのメディアでは「自分が頑張っている姿を子供に見せたい」という父親の言葉と頑張る様子が愛おしく子ども思いのように伝えられることが多い.

私が意識してきたことは,それとは反対の姿勢だった.
「自分が頑張る姿をいかに子供に見せないか」
「常に暇そうな父親の姿をいかに見せるか」

ということを意識して行動してきたのだから.

このようなことを意識して行動してきた理由は
「いつでもすぐに簡単にアクセスできる(話せる,手伝ってもらえる)」
というような父親(や夫)の立場を目指していたからである.

そして何かを頑張る姿勢は,「頑張ってるぞー」と親がこれ見よがしに見せて刺激するのではなく,
「子供が自然に頑張ってしまうようなサポートをする」
ことによって当たり前のように身に付けてほしかったからである.

目の前で頑張ってしまっていては,忙しそうに見えて暇そうな姿を見せられない.なので「いかに頑張らないか」ということを毎朝,そして家路のたびに自分に言い聞かせながらの子育てと夫婦関係である.

といっても職場にいる時はそれなりに仕事っぽいことをして,今年は学術論文審査委員としての功績として「スターレビューアー賞」を権威ある学会からいただいて光栄の限りである.(2回目の受賞.学術界でも暇そうに見えていてサポートができているということなのだろう)

APSStarReviewer

ジムの閉鎖後,妻はフリーの指導者になって日常的な責任から解放され,久しぶりに長い期間の日本滞在を楽しめるようになった.そして新体操を中心としたスポーツ界への新たな関わり方に気づき,その実現への準備を着々とし始めている.

そこにはもちろん「暇そうな夫の姿」も漂わらさざるをえない.そう,色々と一段落,と思ったのも束の間,妻のこの新たな方向へのサポート役が既に始まっている.

そして娘は新たに日本の(スポーツ)SNS関係の仕事に興味を持ち始め,やはり私がそのサポートをする流れになっている.

Murofushi

日本のエージェントととも契約し,公式LINEアカウントでLINE VOOMを出していく流れにもなっている.

LineHome

友だち追加

一段落が終わったと思ったが,その次にはまた,家族としての次の段落が続いている.

SushiNami

そしてそこでもやはり,「暇そうな姿」という大役が待ち受けているのだろう.


shinojpn at 17:09|PermalinkComments(0)