August 15, 2017
10年勤続同伴パーティと3倍の稼ぎ
労働力の流動性が高いアメリカ,10年働いただけで「長い間の貢献ありがとう」と,大学から感謝されてしまう.そんなパートナー同伴の永年勤続パーティーは,予期せぬ果実を生み出してくれた.
ランチョンパーティーに招待されたのは,数ヶ月前の春のこと.ファカルティもテクニシャンも事務員も一緒に招待され,スーツからジーンズまで身なりも様々だ.立場による分け隔てなく適当にテーブルにつき,豪華な食事をいただきながら大学上層部からの労いを受ける,半フォーマル半カジュアルな会だ.
普通に働いてきただけなのに感謝され,二人で美味しい食事をいただけるとはありがたい話だ.だが,パーティーなのにワインなどのアルコール類が供されなかったのは少し(とても)寂しく,自分個人としては,盛り上がるような感情は沸いてこなかった.
ただ,パートナー同伴だったことは,10年に渡る妻への感謝の気持ちを伝えるいいきっかけになった.
そして,それ以上に,思わぬ結果さえも生み出してくれた.

こうやってそれなりの場所で一緒に宴を供され,それなりの大学から感謝される立場の夫を見ると,なにやら誇らしく思えてくるらしい.
そして,その誇らしい夫の妻であることを嬉しく思うらしく,いつも以上の「尊敬感」がかもし出されていた.
嬉しさのあまり,アラフィフ熟年夫婦らしからぬセルフィーを撮るほどの勢いだ.

どうやら,こういうパートナー同伴の会は,実はパートナーのための会,と捉えた方がいいのかもしれない.そしてそのパートナーが感じた結果が自分に返ってくる,いい意味での因果応報の世界なのかもしれない.
高く上がった夫の評価からは,さらなる期待も生まれてくるらしい.
...あれから数ヶ月,出費がかさむ夏場にもなると,こんな風な会話にもなったりする.
「研究じゃなくてビジネスの世界でバリバリ頑張れば,今の3倍くらい稼げる力もあるのかもね?」
確かに,バリバリとそれぐらい稼ぐビジネスマンも沢山いるだろう.
ただ,状況に応じて,色々な生き方,物の見方がある.
自由の国=自己責任の国アメリカで,日本出身の家族3人がそこそこ成功して幸せに生きていくためには,お金だけでは不十分だ.
家族それぞれがアメリカ社会で充実した生活をし将来への道筋が作れるよう,大黒柱にとって,物理的な自由度と精神的な余裕を持って色々な状況に対応していくことは,窮屈な時間やストレスをお金に変えたりすることよりも重要なはずだ.
ただ,状況に応じて,色々な生き方,物の見方がある.
自由の国=自己責任の国アメリカで,日本出身の家族3人がそこそこ成功して幸せに生きていくためには,お金だけでは不十分だ.
家族それぞれがアメリカ社会で充実した生活をし将来への道筋が作れるよう,大黒柱にとって,物理的な自由度と精神的な余裕を持って色々な状況に対応していくことは,窮屈な時間やストレスをお金に変えたりすることよりも重要なはずだ.
「気が付いてないかもしれないけど,実は3倍稼ぐ頑張りはしてると思うんだ」
首が斜めに傾いた.
「そのうちの三分の一が,お金という数えられる形で家族に入って,見えているだけ」
目がキョトンとした.
「あとの三分の一が娘への愛情,そして三分の一が妻への愛情.数えられないし見えにくいかもしれないけど,そういう形で家族に入ってきていると思ってみたら?」
口が開いてきた.
「そういう風に,時間やエネルギーの使い方を意識しているつもりだけど」
首がゆっくりと縦に沈み,目が大きく見開いてきた.
「それとも,全部,お金にしちゃった方がいい?」
首が激しく横に揺れ,目がまぶしく輝いた.
注:重大な勘違いを修正(8/17/2017).
shinojpn at 08:00│Comments(0)│
│プロフ生活