January 22, 2017

空気を読むアメリカ人

妻が泊りがけでテキサス出張に行くので,空港まで送ってあげることにした.

心配していた雷雨もあがり,爽やかなライトブルーがのぞき始めてきた.

家を出てしばらくは,取りとめもない夫婦の会話をしながら,いつものハイウェイを走る.

午前中の出来事,娘の近況,来週の予定,...

 


取りとめもない話もひと段落し,お互いが静かに自分の気持ちの中に入っていく.

6車線のだだっ広いハイウェイで,温かい無言の空気を吸いながら,前を見つめている.



空港が近くなってきた.

妻が,ふと気付いたように口を開き,小さく静寂をやぶる.

 

「よかったね」
 

 

「うん」


 

「うん,だって.ふふっ」


 

「何で?」

 


「だって,よかったね,って言ったら,うんって言うんだよ」

 


「うん」

 


「わかるんだ」

 


(ふふ)

 


空港の道端では,アメリカ人達が普通にハグやキスをし,別れの
ひと時を惜しんでいる.

 


車から降りることもなく,いつもの見送りの一言.

 

「じゃあ,行ってらっしゃい」

 


いつもと違い,右手が肩を引き寄せ,唇が近づいていった.

 


一瞬ふさがれた唇が再び開く.

「アメリカ人みたい」



shinojpn at 12:25│Comments(0)

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