July 06, 2014
小国の研究費申請は外国の人しか査読できない
ヨーロッパのある小国から依頼されていた研究費申請書の査読が終わった.
依頼元は,厚生労働省に相当する,権威高い国立機関だ.
心に入りやすくするため,ここでは厚生労働省と呼んでしまおう.
他のヨーロッパ諸国同様,申請書は小国一般社会の公用語ではなく,国際研究社会での公用語=英語で書いてある.
査読コメントをアップロードしようとログインすると,まず,査読者の資格に関する確認を求めてくる.
「以下のいずれかに該当する人は査読者になれません.」
“厚生労働省の担当者が依頼してきたんだから,問題ないはずだけど.”
面倒だな〜と思いながら,サラッと目を下に動かしてみる.
- 厚生労働省の理事
- 厚生労働省の専門委員
- 申請者の共同研究者
“よくあるConflict of interest (利益相反)関係の制限だし.”
サラサラッとすぐ下のリストに意識を移す.
一瞬,目が止まり,そして泳いだ.
- 本国の大学や研究機関に属している人
“えっ!”
目を何度も左右に動かし,脳をゆっくり動かしてもみたが,読み間違えではない.
この小国の厚生労働省が出す研究費への申請書は,すべて外国の人が査読する,ということだ.
貴重な税金を適正に配分するために,すべて国際的な視点で評価したい,ということのようだ.
そういえば,
「申請者が科学者として国際的な視点からどのような位置にいるか」
という,国際評価をあからさまに問う査読項目もあった.
この小国の本気度が伝わってくる.
国内には国際レベルの研究者が少ない,という事情もあるのかもしれない.
その小国が国際競争力を高めるために,外国の人達を積極的に活用して国民を評価してもらう.国内の税金配分を国外の人達に委ねるとはビックリだが,よく考えれば合理的だ.
査読コメントをアップロードし終わると,最後に査読者プロフィールを確認・アップデートするページに飛ばされた.厚生労働省の担当者が勝手に入力したプロフィールが載っている.
- 所属機関と国:Georgia Institute of Technology, USA
“うん.”
- 国籍:USA
“やはり勘違いか.”
USAを一文字づつ消しながら,ふと思う.
“勘違いされていなかったら,査読を依頼されてたのだろうか?”
shinojpn at 21:22│Comments(0)│
│プロフ生活