May 03, 2013

英語科学論文執筆ワークショップの報告記

毎日毎日,アメリカ人学生を相手に論文執筆を指導したり,アメリカ人共同研究者の英語論文に手を入れたりしている.外国語として英語を使う日本人の私がそんな大それたことをしているのは自分自身奇妙に思う時もあるが,このことは,英語科学論文執筆能力が言語能力にのみ依存するのではなく,それ以前に科学論文を執筆するための正しい知識と技術を身につけているか,ということにより大きく依存することに他ならない.

昨年の初め,アメリカ生理学会主催による科学論文執筆法の合宿ワークショップに参加してその具体的な教育法を体験し理解した私は,昨年夏の一時帰国時に,行く先々でそのような教育の重要性を訴え回った.そして昨年末の二度目の一時帰国時には,講師数名でやるアメリカ生理学会方式を講師一名の小規模にアレンジして,同様の合宿ワークショップを日本人対象で行ってみた.講師も受講者も,ワークショップ以前からかなりのエネルギーを使うワークショップであったが,それだけ,手ごたえもあった.

そのワークショップの報告記が,我々体育科学研究の専門誌,「体育の科学」誌の今月号(5月号)に掲載された.

この報告記を読んだ人達が,そのような教育の重要性を強く認識して行動に移してもらえれば,と願っている.院生やジュニア研究者達はこのような教育を真剣にリクエストし,シニア研究者達がお互いに協力しあって,このような教育を与えるシステムを作っていこうとする.もし,この経験と報告記が,そういう波を作り出す一投石にでもなれば,うれしい限りである.

あれから数ヶ月経ち,受講者から「投稿しました」「アクセプトされました」という知らせが届くたびに,単純にうれしい気持ちになり,ビールで乾杯したくなる.そして,「自分も書かなきゃ」と叱咤激励された気持ちにもなってくる.

あのワークショップは,受講者のためだけではなかった.


shinojpn at 08:19│Comments(2) プロフ生活 

この記事へのコメント

1. Posted by 村上   May 04, 2013 12:58
篠原先生
ワークショップでは大変お世話になりました。あのワークショップに参加して、本当に、心から良かったと思えます。また今後とも、ご指導いただければ幸いです。そして、自分もまた、学んだことを、後輩に伝えていけれるように頑張ろうと思います。本当に、ありがとうございましたー!!!
2. Posted by Shino   May 04, 2013 22:37
村上さん,満足してもらえてよかったです.

なるべく多くの人にこの話をして,経験者として,そういう教育が必要だという機運を盛り上げてみてください.

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