July 22, 2006
続・研究の意義
昨日の顛末(てんまつ)の直後,ラボの人を捕まえて散々グチっては
「ふざけてる,やってられネーよ」
と悪態をつきまくっていた.
全く気が治まらないので,勢いあまってTo:倫理委員会委員長,Cc:学科長して,次のようなEmailをすかさず書いてしまった.
「今日の倫理委員会での質疑応答には,大変ガッカリした.そのような近視眼的にしか研究の価値を捕らえられないような所では,先が思いやられる.ジョージアテックで働きたいと思っていた気持ちが,一気に吹っ飛んでいってしまった」
「行け行け」モードの自分が送信ボタンを押そうと思った瞬間,「落ち着け!」と叫ぶもう一人の自分がいきなり飛び出してきて,マウスポインタを送信ボタンから下書きボタンに移動させていた.
「今日の倫理委員会では,皆様より示唆に富むご指摘をいただき,とても役に立ちました.一方で,会議電話という難しさゆえ,研究の意義を十分に伝え切れなかったことを歯がゆく思います.どうか,倫理委員の方々が私のプロポーザルをもう一度読み直して,この研究の意義を再認識していただければ幸いです.」
「研究の意義は,必ずしもスグ目に見えるような臨床的意義のみではなく,将来的に臨床に利用されるような価値を生み出すかもしれない,意義のある科学的研究もあることを理解していただきたく思います.そういう意味で,臨床医では無い方々からの支持もいただきたく存じます」
結局,深呼吸をしながら,新たにこのように書き直してから送信ボタンを押したのであった.
今朝,メールを開いてみると,土曜日にも関わらず「一体何があったんだ?」と,学科長からの心配メールが届いていた.そして,その数時間後,倫理委員委員長からのメール.
「君の科学研究者としての主張は好意的に理解されていますので,その点は安心してください.」
ふぅ,勢い余って行け行けメールを出さなくってよかった.
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この記事へのコメント
うちも一緒です.ジョージアテックと同じで,うちの研究所も工学系の研究者が多いです.ライフサイエンスをやっている研究者もいますが,多くは動物実験.ヒューマンスタディをやっているラボは僕のところくらいです.ですから,倫理委員会は非常に大変です.
入所して5年目になりますが,入所したての頃は,採血ひとつ行うにしろ大騒ぎでした(倫理委員会は霞ヶ関の管轄省庁で行われました).最近では審査を行う側もだいぶ慣れてきたようですが,やはり,リスク-ベネフィットについてはうるさく言われます.
来週渡米します.「隣の芝は青く見える」といいますが,隣の芝が本当に青いのか,また,自分ちの芝はどのように見えるのか,しっかり確かめてこようと思います.
ではまた
来週の渡米,楽しみですね.隣りの芝は青く見えるかも知れませんが,見る角度によっては違うかもしれません.それに芝の育ち方は環境次第ですし,どんな芝が好きかは人によって違いますからね.色々考えるきっかけになればいいですね.